Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


ヤマハの赤字パネェ
2009年6月25日 11:54

 自身の浪費的な生活が災いし、借金まみれで、金の匂いがしただけで石原にすり寄り、1000万円もの金を火事場ドロボーしてしまう岩城滉一を名誉会長にしてしまうようなスズカ8耐など、“おわっている”と言える。(マジメに参戦しているチームに気を使えば、正確には、漂白された、骨抜きの、おとといきやがれ方式のMFJがおわっていると言える)

 もちろん、業界の人間なら、本当は皆ハラの底で思っていることだとしても、表向きにそんなことを言えるのは、業界の“鼻つまみ者”の私程度で、フツーはそんなネガコメを匿名掲示板以外の場で言う者はいない。

 しかし、そんなスズカ8耐から、昨年末にはホンダがワークスを撤退させるという素晴らしい決断をしたが、もちろん理由は金がないからである。

 しかし、ホンダは今回のリーマンショックで業績が悪化したものの、むしろ2輪が牽引してなんとか黒字を確保している。また、スズキも黒字を確保しているし、川重はコングロマリットで、2輪などオマケだが、一応こちらも黒字を確保している。

 そんな中、やっとヤマハがスズカ8耐のワークス参戦を中止する発表をした。

2009年6月14日のヤマハのニュースリリース

 他メーカーと違い、今年の予想で420億円もの巨額赤字となるヤマハにしては、えらい遅い発表だが、こうした判断の遅さも、900人もの非正規雇用の人達を夏までにゼロにして、この人達の生活の面倒は見ないというのに、“たった1人の”イタ公に10億円ものギャラは出してしまうバカげた企業らしい決断力の無さが露呈されていると言える。(脱税する為にイギリスに住民票を移すような新自由主義者のイタ公1人をクビにするだけで、何の罪もなく解雇される我が国に住む900人の人達の半年分の生活費をまかなうことが出来る)

 こんな企業が、こんな420億円もの赤字を抱える企業が、数10億円もの金がかかるmotoGPで頭など取って喜んでいる場合なのだろうか? 株主はバカなのか? ただのマゾなのか?


2008年利益
2009年利益
(予想)
ホンダ
1370億円
400億円
カワサキ
117億円
60億円
スズキ
274億円
50億円
ヤマハ
185億円
△420億円


 ↑を見ると、500億円もの金がかかるF-1を撤退していなければ、ホンダも今年は赤字転落するところだったが、リーマンショックの直後の時点で、F-1を撤退すればなんかとか黒字は確保出来るとふんだ先見性が功を奏し、ある意味ホンダはmotoGPまでは撤退しなくて済んだと言える。そして、ホンダは64歳の福井氏から、55歳の伊東氏に社長交代することで社長を世代交代させ、4輪はハイブリッドのインサイト、2輪はVTRなどで、安全確実な商売に力を入れた。

 こうしたホンダに対して、↑の表を見たヤマハファンはガッカリしていることだと思うが、赤字の責任を取らないヤマハの社長である梶川氏は65歳で、役員のほとんどが60歳前後の人達で、その中で技術畑の出身者は、12人中たったの1人だけである。これが「感動創造企業」の中身だ。

 どうしてヤマハは、これまでにヤマハしか売り出したことがない電動スクーターや、あるいはその上をいく電動バイクなど、トレンドに合致した商品開発に力を入れず、motoGPなどで金を浪費するかたわら、富裕層が高級店ではなく、大衆店に行くなどの倹約的な行動に走る“トレードダウン”という消費行動が目立ち始めた昨今、V-MAXを231万円で売り出すと言った、昨年までのトレンドを引きずるビジネスを展開しているのだろうか?
 理由。ヤマハに戦略などないからである。

 つまり、戦略には犠牲が付きものであり、別の言い方をすれば、犠牲無くして戦略は有り得ない訳だが、ヤマハの経営者に何かを犠牲にする勇気などなかった訳だ。

 つまりホンダは、F-1参戦によるブランドバリューの構築や企業の意地などを捨てるという犠牲を払い、この経済危機に対処し、経営資源をトレンドのエコカーにシフトした訳だが、フタを開けてみれば、インサイトを買う購買層の人達にとっては、F-1などどうでもいいということが分かった。

 ちなみに、ヤマハの赤字の中身はと言うと、実のところは、本業の赤字というよりも、有価証券評価損が8割がたを占めているようで、その有価証券とは、(楽器を売っている)ヤマハ株である。

 つまり、この企業はオートバイの専門企業ではなく、バイクとは何の関係もない“音又”マークをいつまでもバイクに貼り付けているように、楽器屋のヤマハにいつまでも縛られている独り立ちできない企業なのだということも、今回の赤字で露呈されたと言える。

 以前から何度も書いていることだが、我が国の2輪業界を取り巻く問題が解決しない根源的理由は、我が国にはオートバイ専門のメーカーがないということである。

 私の大マジメな提案としては、ヤマハの社内に“本当に”バイクを愛す人間がいるのであれば、かつてハーレーの幹部が、ハーレーを所有していたAMFに対して行ったように、ヤマハの中で本当にバイクを愛す人が、2輪の製造部門の資産を担保に金を借りて、その金でヤマハの2輪部門を買収するLB0(レバレッジド・バイ・アウト)をヤマハに仕掛け、ヤマハから独立すべきである。

 そして、新しい会社の幹部達は、バイクのみを愛す会社を作って、ヤマハのネーミングを捨て、音又マークを捨て、全く新しいネーミングのバイクメーカーとして生まれ変わるべきである。

 なぜならば、新陳代謝とは、そのくらい劇的でなければダメだと思わせるくらい、現在のヤマハの上層部には何も期待できないからだ。




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