Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


清志郎永眠と僕の好きな音楽
2009年5月14日 11:28

 最初に合掌。

 さて、えらい遅い反応と言ったエントリだが、清志郎永眠で想ったことをツラツラと書きたいと思う。(途中で脱線します)

 さて、清志郎と言えばRCサクセションだが、実を言うと、私自身はそんなにRCをよく聴いていた訳ではなく、友人の方がよく聴いている人達が多かった。
 そして、たしか16歳前後の時、友人の小林君が、「RCのファーストアルバムって、『初期のRCサクセション』っていうタイトルなんだけど、これって、自分達がこの先メジャーになって、沢山アルバムを出すって前提で、最初のアルバムに自分達で『初期の…』ってつけてるとこがスゲーよな」みたいなことを語っていたのを覚えている。そう、例えば、今の若い人がRCのアルバムをチェックしたら、『初期のRCサクセション』というタイトルを目にして、恐らく、メジャーになってから出した“初期の”音源集なんだろうと考えると思うが、そうした未来を予想し、それを逆手にとったシャレがきいたタイトルだった。

 そしてその後、私が17〜20歳前後の時には、バンドをやっていた友人がいて、そのバンドのボーカルが、明らかに清志郎とミック・ジャガーに影響を受けているような、まー、ある種いがちなバンドマンだったのだが、私はそのバンドのメンバーとよく遊んでいたので、後先考えないような、中野とか高円寺とか下北沢に生息しているようなバンドマンが私は結構好きである。というか、そもそも私の父親もズージャー(ジャズ)の太鼓叩き(ドラマー)だったので、バンドマンと親和性が高いのかもしれない。(余談だが、私の使う“逆さ言葉”は、逆さ言葉を最初に世に送り出した日本のジャズマンの1人であった父親の影響である)

 実は私は、この友人のバンドマンの元カノと付き合ったことがあったのだが(笑)、その元カノなんかに影響を受けて考察するに、RCを聴いていて、清志郎が好きという清志郎のワンフーの方達は、そのまま邦楽路線に突き進むと、憂歌団とか、そんな方面にハマっていくようで、逆に、洋楽方面に突き進むと、ストーンズとかドアーズとか、まー、60〜70年代ヒッピー調にハマっていくようだ。

(ここから話が脱線します)

 そして、私はと言うと、父親がズージャーのドラマーだった影響で、ガキの頃は、オヤジがクルマの中のBGM的にかけていたソウルミュージック(韓国の音楽ではありません)を永遠に聴かされて育ったので、どうもブラックミュージックが耳に優しいのだが、中学生の頃は、なぜかオールディーズ(50年代の音楽)にハマっていて、単純なロックンロールが好きだった。

 そして、このロックンロールというのは、ルーツはブルースにあったので、ブルース的な音楽が1番カッコイイと内心思ってはいたものの、仮に自分が音楽を始めたら、ゼッテーにブルースにハマって、ストレートに自殺か、あるいはドープ系で刑務所とシャバを行き来して、最後には撃たれて死ぬような気がしたので、音楽には絶対に手は出さず、健全に“お昼”に活動するモーターサイクルスポーツの方に興味を仕向けた。(笑)

 なので、私自身はあまり音楽に詳しくなく、内心カッコイイと思っていたブルースをマジで聴いたことも無かったが、30代前半の時、ストレスから働いていた工場を逃げるようにして辞めてしまい、失業保険も切れてからは、不景気も手伝って全く就職が出来ず、アルバイトで工事現場のガードマンとかをやって、それこそ金がないと日払いで金をもらっていたりしたこともあった。

 そして、私はこの時、生まれて初めてブルースを聴いた。


ブルースのもと
 「何がブルースのもとだって? それには3つか4つ考えられるな。誰かに恋しててそれがうまくいかないという場合。それに、うまくものごとが成功しないって場合、それから、家庭持ちで、生活が苦しいっていう場合だな。そうなりゃ自分を情けなく思うしかないよ。ブルースのとてもいいところは、自分を情けなく思うときに、元気を出して、ブルースをうたえるってことだな。」
(リトル・エディ・カークランド)

 「例えば女友達とか女房とかのことでさびしくなると、ゆううつな気分になる、つまり、ブルースを聞きたい気分になる。それで自分の神経をやわらげるってわけだ。ブルースは神経をやわらげるもんだよ。例えば、すごく運がよくて、たくさん金もうけした男がいるとするね。だけど、その金がぜんぶなくなってしまえば、あとにはブルースしか残らない。でも、ブルースにはとても気持ちのいいとこがあるよ、それがブルースの大事なところだ。それに誰も関係していなくたってブルースはとりつくもんだ。誰かのことでなくてもそうなるんだ。1人だけになって、自分がやってしまったまちがいのことを考える……金の事とか何でも……それがブルースだよ。」
(ブギ・ウギ・レッド)


 正直、幼少期の頃の私は、自分は30歳までにやりたい放題やって、そこで死ぬという人生計画を立てていたのだが、不可抗力に30代に突入すると、社会に対する適応能力のないただのゴミみたいな人間になっていた。

 また、私は“肩書き”というものが嫌いだったせいで、当然学歴になど何の価値観も見いだせなかったが、そのせいで社会の底辺層を渡り歩き、この時は30代にもなって日払いのガードマンの仕事などしている自分を情けなく思ったものだ。つまり、私にはブルースしか残されていなかった。

 ところで、ブルースと言うのは、ルーツをたどると、白人から迫害を受けていたディープサウス(深南部)の黒人が、山の中などで1人で仕事をしている時に、気を紛らわせる為に叫んでいた、“ハラー(ホラー)”という、ただの叫び声みたいなものが元祖らしいが、このディープサウス、そう、ミシシッピデルタ地方で生まれたブルースは、超ウルトラ泥臭く、これを永遠に聴いていたら自殺するんじゃないかという、かなりヘビーな音楽だった。

 有名なのは、ロバート・ジョンソンだが、「十字路で悪魔に魂を売り渡して引き換えにギターテクニックを身につけた」という伝説(笑)を持ち、27歳で他界しているが、その死因には諸説あり、夫がいる女に手を出して毒殺(笑)されたとか、セックスしてるところを夫に見られて刺されたとか、色々言われているが、正確には不明である。(笑)

 話を戻して、私は、さすがにロバート・ジョンソンはやば過ぎると思ったので(笑)、ミシシッピデルタスタイルを“ひきずった”、シカゴブルースが耳に心地よいと思うようになった。しかし、例えばB・Bキングのような、“白人とも仲良くやってます”調な明るいブルースは苦手で、やはり、ロバート・ジョンソンほどじゃないにしても、“白人からの迫害を感じさせる”テイストが欲しかった。えっ? 何々? クラプトン? 笑わせんなよボク。(笑)

 話を戻して、そこで私がハマったのが、シカゴ・ブルースの代表格である、マディー・ウォーターズだった。う〜ん、シカゴ・ブルースはホントに程よい加減だ。

 そして、多くのロックンローラーは、音楽を愛し、自分達が奏でる音楽のルーツを探ると、こうしたブルースマンを敬愛するようになる。例えば、ローリング・ストーンズなどは、そのバンド名が、マディー・ウォーターズの歌詞によく出てくる、“ローリング・ストーン(風来坊)”という言葉をそのままパクっているくらいだ。

 しかし、いわゆるロックという音楽は、一般的には反社会的に捉えられているし、ちょっと違うが、パンクなどは、明らかに反社会的なメッセージ性にあふれている。また、こうした激しい音楽に限らず、もっとピヨピヨした邦楽などを聴いている若者も、クールだと思う音楽には、何らかのメッセージ性があるもんだと、知らず知らず認識しているような気がする。もちろん、そういう私自身、ミュージシャンというのは、何らかのメッセージ性を込めて音楽活動しているものだと信じていた。

 しかし、面白いことに、ブルースにはメッセージ性がない。そう、上記のブルースマンの言葉のように、ブルースというのは、疲れている時に神経を和らげて、情けない自分を確認するかのような音楽で、想像するに、白人から迫害され、毎日キツい労働を強いられてきた当時の黒人達が、何かを訴えるというよりかは、自分達の神経をやわらげる為に音を奏でていたという気がする。(実際、歌詞も、女にフラれて寂しいとか、そんなのばかりだ)

(ここで急に話が戻ります)

 とまー、ブルースにはメッセージ性がないものの、多くのミュージシャンは、自分の音楽に何らかのメッセージ性を込める。特に、清志郎はそれが強いミュージシャンだったと思うが、清志郎に限らず、私がミュージシャンや、あるいは売れないバンドマンなどにもシンパシーを感じるのは、彼らの心の底辺にあるものが、絶対平和主義と博愛主義だからである。

 そう、清志郎は♪核などいらね〜♪と唄ったが、当然、彼の音楽のベースにも絶対平和主義があったと思う。

 清志郎が死んだ時、青山には4万人以上のワンフーが集まったようで、ニュースでもその模様を流していたが、若い人達の中には、清志郎の音楽に馴染みが薄く、俳優とかで見ることの方が多くて、“ファンキーで面白いおじさん”みたいなイメージしか持ってなかった人もいるかもしれない。また、テレビなどのニュースを見ても、清志郎の音楽の底辺を流れるメッセージについて伝えることはあまりないように感じた。しかし、清志郎の音楽が好きで、高円寺とか下北沢とかをうろついているようなバンドマンとかであれば、平和を叫ぶミュージシャンが1人死んだことの重みをよく理解していることだろう。

 今、日本は貧富の格差が広がったことで、貧富の格差が広がった国では、必ずナショナリズムが台頭し、国が右傾化するのが世の常だということを証明するかのように、我が国も急速に右傾化している気がする。象徴的だったのは、北朝鮮がミサイルを打ち上げるというだけで、マスコミや自民党の右派議員などは、まるで開戦前夜のような大騒ぎをしていたが、インターネットにおいても、私のような非武装中立論者は、ネットウヨからバカサヨ扱いされたりもしている。

 しかし、偉大なるマハトマ・ガンジーが言ったように、平和への道はなく、平和こそが道であり、多くのミュージシャンが平和を愛し、博愛を訴えているというに、それをあざ笑うかのように、右派の政治家達は、愛国心などをあおって、ジンゴイズム(好戦的愛国主義)を国民に根付かせようとしている。


The Timers - FM Tokyo

 リハーサルから歌詞を差し替えて本番に挑んだタイマーズ。リハと違うので古舘伊知郎が呆然としているのが笑える。(笑)






★備忘録
 ブラックミュージックが苦手な方は再生しない方がいいです。(笑)

Sweet Home Chicago

 かの有名なロバート・ジョンソン。

1936年11月、ジョンソンはテキサス州サンアントニオで初めてのレコーディング・セッションに臨み、3日間で16曲をレコーディングした。1937年6月には二度目のレコーディングのためにダラスに赴き、13曲を残している。彼が生涯に残したレコーディングは、この29曲(42テイク)だけである。
(ウィキペディアより)


Muddy Waters - Nineteen years old (live 1971)

 キツいガードマンのバイトをやっていた時、家に帰ってから、↑のマディー・ウォーターズの1971年のライブのビデオを観て私は神経を和らげていた。ハーモニカのジョージ・スミスの目がマジコエー。(笑)


Rolling Stones - Muddy Waters - Mannish Boy


 ↑は、ストーンズがマディーとセッションしている貴重な映像。ローリング・ストーンズの前で、マディーが♪俺はローリング・ストーン(風来坊)だ♪と唄っている。(笑)




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