Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


分割して独自化せよ 2005年1月27日 09:18

 『ホネス』のサイトでの“ですます調”と、『アーブの日記』の論調とのダブルスタンダード(二枚舌)に対して、読者はとまどっていないだろうか? えっ? 何々? オマエは二重人格なのかって? 私は二重人格で有名な“ふたご座”だが、モノホン(本物)の二重人格ではなく、単にマルチな才能を発揮しているだけなのだよ。(笑)

 さて、ここのところホネスの店の準備に追われ、まともな日記が書けず、親愛なる読者には申し訳ないが、ロムシーを主催している時に対して、現在のコンテンツのネタは、片手間に記述している私の日記だけだというのに、以前よりも訪問者が激増しているのは皮肉な話でもある。ところで、私の日記では、一貫してメーカーに対する苦言を呈している訳だが、それはフルラインはやめて、ラインをしぼるべきだという提言だというのは、読者も理解したことだろう。そして、実際に、ラインを絞ってうまく行っているのが、ハーレー・ダビッドソンとドゥカティであり、これに対しても読者は充分に理解したことだろう。
 しかし、もし仮に国内4メーカーのCEOが私の日記を読んでいたとしても、彼らは次のように言うかもしれない。「オマエの言いたいことは分かるが、ラインを絞るには、わが社は肥大化し過ぎているし、おフランスあたりから切れ目の経営者を雇ってくる予定もない」と。
 そこで私が国内4メーカーに提言していることは、頭の良い読者ならお分かりのように、(私の日記をバカが読むハズはない)次に考えられるのは、スピンオフ(分社化)であり、これも読者はよく分かっていることだろう。

 話変わって、我々が選び出した我が国の総理大臣であるライオンは、郵便局をガレージセールに出したがっているが、周りの政治家先生達は、どうやらこれに対して非協力的である。(私は民営化後の、政治家先生お得意の健忘症を今から楽しみにしている)そしてまた、メディアの方達も、最近の郵便局の民営化に向けたサービスの強化に対して、「民業圧迫だ」といった否定的なニュースを流すのが好きなようだ。これは、忠臣蔵ライクな、強きをくじき弱きを助けるといったニュースの方が、視聴者の支持が得られるとでもメディアが思っているからなのだろう。

 しかし、民間の宅配便業者と郵便局と両方を利用している私が、庶民感覚で述べさせてもらえれば、郵便局はとっとと民営化して、佐川急便やクロネコヤマトをブッ潰してもらいたいと思うことがよくある。郵便局は、現在相当に気合が入っているので、サービス満点であるが、民間業者は、組織がまとまっておらず、各自がバラバラな動きだという印象が強い。(私は佐川急便のドライバーから、「イヤならよそに出してくれ」と言われたことがある)
 まーこれは私の感情論だが、郵便局がガレージセールに出されることは歓迎しつつも、やり方はうまくやる必要があると思われる。簡単に言えば、窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易保険の四つの業務を、スピンオフすべきだろう。
 あるいはである。スピンオフしなくとも、四つの業務は別ブランドとして立ち上げるべきである。これはこれで素晴らしい戦略であり、スピンオフが難しいと考える、国内4メーカーに対してもいいアドバイスになるだろう。

 例えば、ナイキとリーバイスは、デカいシングルブランドで、それぞれマーケット(市場)のシェアを30%奪っている。しかし、ジレットは、四つのブランドを駆使して、市場の65%を奪っている。つまり、ハーレー・ダビッドソンとドゥカティは素晴らしいシングルブランドであり、2輪業界のナイキやリーバイスと言えるが、国内4メーカーは、ジレットを目指すのもいいかもしれない。

 では、国内4メーカーと、我が国の郵便局の民営化の両方が成功する為に、よその国の企業の成功例を紹介しよう。しかも皆さんがとても良く知っている企業だ。
 それは『レプソル』である。皆さん御存知、motoGPでホンダのスポンサーであるレプソルは、以前はスペインの国営石油会社であったが、1989年に国王がガレージセールに出したことで、民営化された。
 そして、レプソルは民営化された時に、自社がそれまで行っていたサービスを、三つのブランドに分けた。民営化に伴って新しく作られたブランド、『レプソル』と、国営時代に使っていた古いブランドの『キャンプサ』と、北スペインのローカルブランドの『ペトロノール』である。

 レプソルは、国営企業の時には、我が国の国営企業と同じように、脳天気ガリバー企業だったようだ。つまりは、三つの業務を平等に扱っていたのである。しかし、レプソルの会長のオスカー・ファンジャルは、何か別の方法があると考えた。そこで三つのブランドは独自化された。そう、“独自化”である。いつ聞いても素晴らしい響きだ。
 まず、『レプソル』は、クルマの為のブランドとして広告展開した。motoGPでのスポンサードも、これの一環である。そして、ハイオクガソリンや新型エンジン用のオイルを販売し、ガソリンスタンドで商品を引き立たせる戦略を取った
 次に、『キャンプサ』は、サービスの為のブランドとして展開した。これは、古いこちらのブランドの方が、消費者からの信頼が厚かったからである。しかし、これに伴い、キャンプサはレース関係のスポンサーになることはやめ、その役割はレプソルに全て委ねた。そして、キャンプサは、サービスを強化したガソリンスタンドを経営し、一部の店舗では、セブンイレブンとガソリンスタンドが併設された。そう、郵便局も将来はセブンイレブンと併設するといいだろう。離島に郵便局がなくなるのではなく、離島にまでセブンイレブンが出来そうだ。
 話を戻して、3番目の『ペトロノール』は、価格の為のブランドとして展開した。このブランドのガソリンスタンドは、交通量の過密地域に置かれ、給油はセルフサービスのみで、低価格、限定サービス、支払いは現金のみである。

 こうしてレプソルは、三つの異なる価格帯を制しているので、他の国の石油メーカーがスペインに参入するのをうまく阻んでいる。
 つまり、レプソルは、国王がただ単にガレージセールに出しただけでなく、それまでの業務を三つに分けて独自化したことが成功の秘訣となったと私は考えているのである。従って、もし仮に、我が国の郵便局がガレージセールに出た際も、窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易保険の四つの業務を独自化した方が良いだろう。
 そしてまた、国内4メーカーも、オートバイのカテゴリーごとに別ブランドを立ち上げ、それぞれ独自化すれば、おフランスからやってきたCEOと違って、社員もあまりクビにしなくて済むだろう。
 つまり、もし、国内4メーカーがハーレー・ダビッドソンやドゥカティと違って、このままガリバーのままでいたいのならば、NTTのようにいつまでも脳天気でいるよりかは、レプソルの例を模擬するのが良いというのが、私からの第三の助言である。

 えっ? 何々? メーカーの批判ばかりしているが、オマエの商売は大丈夫なのかって? では私は、次の言葉に従い、頑張ってみるとしよう。


我々は行う前に学ぶべきことを、実行することによって学ぶ。
アリストテレス





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