Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


東国原と橋下に騙されるB層
2009年7月2日 11:53

 ネオリベラリズム(新自由主義)とは、市場に対して政府は何もせず、そのまま放っておいた方が良いという、市場原理主義がベースになっており、具体的には、民営化、規制の撤廃、小さな政府などが目標となっている。

 しかし、この全て放っておいた方が良いという考え方を徹底させることにおいて、ガタガタ言いだす勢力を抑える為に、軍事力を利用することがてっとり早いというのが、ネオリベラリズム(新自由主義)を推進する国の特徴であり、また、新自由主義者に言わせれば、政府が市場に介入するのはよくないことなので、政府の仕事とは、民間では出来ない警察や軍隊などの仕事に絞るべきだと考えているので、政府が軍隊に対する仕事に傾倒するという意味でも、保守主義とネオリベラリズム(新自由主義)の相性は良く、ネオリベラリズム(新自由主義)とネオコンサバティブ(新保守主義)は、手を携えて一緒に力を増していくのが特徴である。

 また、このネオコンネオリベを推進したのが、アメリカで言えばブッシュ政権であり、日本で言えば自民党や、そのペット知事である、石原慎太郎と橋下徹と東国原英夫である。

★ポピュリズム
 ネオリベラリズム(新自由主義)についてもっと語りたいが、今回は、自民党のペット知事である、石原慎太郎と橋下徹と東国原英夫のポピュリズムについて語ろう。

 彼らの政策は、弱者切り捨てで、ストレートに国交省利権の公共事業推進が特徴だが、広告代理店のスリード社が提唱した、“B層”と呼ばれる人をターゲットにして、彼らはタレント時代の人気も利用しながら、有権者を騙していくのが得意である。

 そして、そのB層だましの戦略としては、大昔から戦略は変わっておらず、まずは国の官僚組織を徹底的に糾弾し、自分達は官僚と闘っているというイキフン(雰囲気)を、メディアを使って醸成する。

 すると国民達は、彼らをセレクトすれば、この国は変革し、より素晴らしい世界が来るのだと錯覚し始める。

 しかし、実際に彼らに票を入れ、彼らが権力を握ると、むしろ庶民の生活は苦しくなり、国も傾き、結果的に外資が日本の資産を食いつくす手助けをすることになる。愚かだ。

 ところで、少し前に、鳩山邦夫が、『かんぽの宿』問題でガタガタ言っていた時、メディアは、オリックスの宮内の“み”の字も語らなかったが、それどころか、あろうことか、竹中を出演させ、鳩山は自分の売名の為のパフォーマンスを行っているに過ぎないと偏向報道した。

 個人的には、三国一(さんごくいち)の左翼嫌いで、在任中、死刑を宣告される人の人数よりも、死刑が実行された人の人数の方が多かったという、正に“死神”と言える鳩山など全く支持しないが(私は死刑制度反対論者である)、ネット上の左派系やリベラル系のブログ等では、これまたあろうことか鳩山を英雄視して、左派なのに鳩山を批判しようものなら、“隠れ自民”などと攻撃したりする者もいたようだ。愚かだ。

 しかし、鳩山など実はどうでもよく、問題の本質はオリックスの宮内だといった話題がのぼることはほとんど、ない。

 つまり、『かんぽの宿』は、はじめっからオリックスの宮内を儲けさせる為に仕組まれたもので、小泉・竹中と宮内のズブズブの関係については、絶対にメディアで報道されることがない。

 しかし、宮内は日本人なので、まー、国内の政商といったところだが、そもそも郵政を民営化して、日本人の貯金を狙っていたのは、ズバリ、アメリカであり、郵政民営化だけでなく、様々な規制緩和によっても、例えば日本の年金は崩壊しているとネガティブキャンペーンに努め、外資の保険会社に儲けさせているのも、アメリカの狙い通りの結果となっている。(小泉改革後から、テレビでやたらと外資系の保険会社のCMが増えたことを、あなたも肌で感じていることだろう)

 結局話が脱線してしまったが、小泉改革の時には、かの有名なワンフレーズポリティクスを使って、電通の協力の元、小泉・竹中は見事に国民を騙すことに成功したが、知事レベルにおいても、うまくポピュリズムを利用して、石原、橋下、東国原などが当選し、彼らはネオコンネオリベ政策を推進している。

★地方分権
 最近では東国原と橋下が威勢よく騒いでいるが、彼らは本当にいつものワンパターンにて、得意のワンフレーズポリティクスを使って、次期衆議院選挙で自民党を勝たせようとしている。また、自民党もそれを狙っている。

 彼らは、前回の『郵政選挙』をマネして、今回は『地方分権選挙』をワンフレーズポリティクスとして使おうと企んでいるようだが、今回もまた、地方に金や権限を渡さない中央の官僚組織が悪だといった構図を電通を使って演出し、悪と戦う自分達に投票することこそが、日本を良くする道なのだといった幻想を有権者に抱かせて、次の選挙に勝とうと企んでいるようだ。

 しかし、この地方分権とは、郵政民営化と全く同じ、単純なネオリベラリズム(新自由主義)政策である。

 そう、現在、我が国はネオリベラリズム(新自由主義)により格差が拡大し、これは個人の金持ちと個人の貧乏人に二極化したという意味だが、地方分権とは、地域に格差を作る政策でしかない。

 つまり、地方分権などして得をするのは、東京大阪の大都市圏と、トヨタがある愛知県だけに限られ、多くの地方都市は、夕張のように破たんし、実際に破たんした地方自治体は、自分達の財産をタダ同然の価格でハゲタカに売り払うことになるだろう。『かんぽの宿』の第2弾という訳だ。

 つまり、地方分権の狙いとは、郵政民営化の時と同じで、ハゲタカが儲ける為の方便に過ぎず、これまでの個人に対する弱肉強食の論理を、今度は地方自治体に移写拡大しただけに過ぎない。

 繰り返すが、東国原や橋下が言うように、仮に地方が様々な権限を持ったとしても、それでうまく行政をコントロールできるのは、元々金を稼ぐのが得意な大都市圏と、地方分権した方が税金を自分の都合よく使えて儲けることが出来るトヨタがある愛知県などの県だけとなり、現在過疎化が進んでいるような地方は、弱肉強食の掟に従い益々困窮し、最後は破たんしてハゲタカに襲われるだけの結果となる。


「富める者はますます富み、貧しき者は持っている物でさえ取り去られるのである」
―新約聖書マタイ伝13章12節―




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