Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


黒い目と青い目の違い
2009年6月5日 10:58

 まずは、日本人と青い目の違いについて語ってみよう。

 最初にバイクのカスタムの話題から。そう、日本人の行う和風カスタムは、スズキ車にはヨシムラのマフラーとか、基本的に、車体のメーカーに対して親和性が高いブランドのアフターパーツをボルトオンで組むというのが根強い人気となっている。

 それに対して、私が好きなジャーマンストリートファイターなどは、元々が何の車体か分からないというところまで、ほとんどメチャクチャにカスタムしてしまい、その1台が究極のオリジナルという風にしてしまうのが特徴である。

 次に音楽の話題。私は普段洋楽を好んで聴いているが、以前テレビで日本の歌手を育てているボイストレーナーの人が語っていた話で、その方は、日本の視聴者にウケる為には、とにかく声を出すことが非常に重要だとのことだった。

 確かに、日本の歌手で売れている人、特に女性歌手は、最初に静かな調子で始まって、だんだんと声量が増していきクライマックスを迎えるみたいな歌い方と、それに合わせた曲の組み合わせが多い気がする。

 それに対して、洋楽、特に私が好きなソウル系の曲を聴いていると、邦楽とは全然違って、もっとセクシーで色気があるが、邦楽は、とにかく声量がある人が勝ちという感じがする。

 これは、前述のボイストレーナーの方の論理では、日本人というのは、元々縄文時代からの農耕民族のDNAが根強いので、音楽に関しても、奇をてらったものよりも、だんだんとリズムにのってきて、聴く者が気持ちいいとか心地よいと想像した声が最後に出てくるような、そんな予定調和的な曲の流れを体感することで安心するみたいな、そんな曲や歌い方をする歌手が好まれる為で、結果的に邦楽はみんな予定調和的になってしまうようだ。

 例えば、安室奈美恵とかが、フージーズとかTLCとかに憧れているとご本人が語っていても、実際に売り出されるのは、ブラックミュージックとは程遠いただの邦楽になってしまうのも、歌手本人の好みなど、マネージメントを考える“売り出す人達”には全然関係ないからで、いつまで経っても、日本人は予定調和的な曲しか接することが出来ないという状態になっているような気がする。

 同様に、日本人が行うバイクのカスタムも、80年代系の旧車などは、特にAMAスーパーバイク的にカッチリ固めるみたいな、予定調和的なカスタムを好むし、新しいSSにしても、motoGPやSBKのイメージに沿ってカスタムするし、ドゥカティなども、全身イタリア系のアフターで固めるみたいな、そんな予定調和的なカスタムを好む。

 誤解してもらいたくないのは、別にそれが悪いことだと言っている訳ではなく、なぜ日本人が奇をてらった、いわゆる“キワモノカスタム”を嫌うのかを冷静に分析している訳だが、仮にアフターパーツの世界で成功するのなら、正攻法にて予定調和的なカスタムを展開した方が、日本人との相性は良いのでうまくいくと言える。

 まー、私がジャーマンストリートファイターに傾倒してしまったのは、実のところ、和風カスタムにあきてしまったからで、和風カスタムを否定するつもりは毛頭なく、むしろ、ニッチに滑り込んでビジネスを進める私としては、キワモノカスタムは永遠にマイナーであってもらいたいと願っている。

 逆に、下手に新たなカスタムを施したバイクにキムタク(木村拓哉)を乗せてしまったら、デイトナとかキジマとかキタコとかハリケーンとかがワッと寄ってきて、そのカテゴリーは死ぬ訳だが、(笑) もちろんそれが、皆さんご存じのTWとかFTRというストリートトラッカー系のバイクだった。

 つまりキムタクとは、バイクのカテゴリーを殺す死の商人という訳だが、それは冗談として話を戻して、私もレーサーレプリカ生き残り世代なので、80年代の空前のロードレースブームの頃には沢山いた、ライダー含めての“フルレプリカ”みたいなライダーが激減してしまったのは、むしろ残念に思っているフシもある。

 当時は、フォームまでクリソツなスペンサーレプリカ君とか、ローソンレプリカ君が街中にもいて楽しかったが、最近は、私が都心に住んでいて郊外に行かないからかもしれないが、なぜかジェットヘルかぶってSS乗ってる人とかの方が多く目にするので、「なんだかな〜、つーかやめてケレゲバゲバ」という気分も否めない。

 しかし、ハタチやそこらならともかく、おなかがダブついた中年ライダーが、ロッシやハガノリとかのフルレプリカで走っても、「それはそれでちょっと…」みたいな感じもあるので、80年代のロードレスーブームの名残世代の中年ライダーの方達も、真面目に自主規制しているのだろう。(笑)

 そして、そうした人達は、Zやカタナと言った旧車に走って、硬派な走り屋風を気取りたいという気持ちは、むしろある意味健全だとも言えるし、旧車は実際問題壊れたり維持が大変だというリアリストの方々が、2本ショックのゼファーやZRXをセレクトするというのも、むしろフツーの感性と言えるだろう。

 しかし、そこにきてメーカーは、安易にビクスクブームを醸成してしまった為、ロード系に走る人達は中年ライダー一辺倒になってしまい、若者達は、ロード系のバイクやバイク乗りに対しては、ヘンテコなピエロとしか思わなくなってしまったのも現実ではある。

 しかし、実際にビクスクに乗るような若者に話を聞いても、ビクスクは実際問題遅いし、操作が簡単すぎるので、もっと速くて複雑な操作が楽しめるバイクにステップアッフしたいという願望を持ち始めている人達もチラホラ現われているようで、そして本当にステップアップしたのが、隼をローダウンした“ニュースクール系”というジャンルだが、ビクスクのカスタムに火がついた時、いわゆる四輪の“スポコン”(体育会系のドラマのことではなく、スポーツコンパクトのこと)系のカスタムと宣伝されていたが、スポコンの本場アメリカでビクスクカスタムしてる奴なんて誰もいねーという感じで、“こんなものはニセモノ感”も強かった。

 しかし、世の中は広いので、キチンとアメリカのカルチャーであるニュースクールのカスタムを輸入する人達も現れたので、隼をロンスイ&ローダウン化してメッキでキラキラにする若者も増えてきたが、それはそれで良しとして、私のように、若い頃にバイクで攻めていたというタイプの人間からすると、ニュースクール系では“攻める”ことが出来ないのと、ヒップホップも聴かないしB-BOY系のファッションもしないので、原色の赤とか青が大好きなホンダセンスのトリコロールライクなSS乗りと違って、予定調和的なカスタムでは納得いかないというキワモノカスタム志向で、更に攻めることも出来るということで、ジャーマンストリートファイターに私は傾倒していったのだが、最近では、1人とか2人のレベル(笑)にて、ニュースクール系で群れてたけど、峠とかで攻められないので、私のサイトにやってきたという若者もチラホラ現われてきた。

 あとは、アンダーグラウンドでひっそり息をするべく、このカテゴリがブレイクしないよう、そのさじ加減が難しいのだが、もちろんそれが私の得意とする愛すべき労働なので、今後ももちろんキムタクを乗せてはいけないというゴールデンルール(黄金律)をしっかり守っていきたいと思う。(爆)

 えっ? 何々? 「おまえには野心というものが無いのか!?」だって? いやいや、この業界で成功し、ビルを建てたりベンツに乗ったりしたものの、その後没落した軽蔑すべき先輩諸兄を沢山拝んでいるので、こんな業界で成功してビルを建てようとかベンツに乗ろうなんて夢にも思っていないよ。また、仮に間違って儲かっちゃっても、ビルを建てたりベンツに乗ったりして見栄なんか張らずに、ひっそりと老後に備えて株でも買うよ。(笑)

 だって、自分には商才があるなどと思い上がるよりも、実際に商才がある人間に投資している方が、はるかに合理的だとは思わないかい?(笑)

 えっ? 何々? 「そういうのを他力本願と言うんだ」だって? いやいや違うよ、こういうのを“勝ち馬に乗る”と言うんだよ。(笑)




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