Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


豊かさの限界 2008年4月22日 23:04

 私は26歳の時に、様々な食糧問題や人口問題に関する本を通じて、当時の有識者達が、15年ないし20年後には、全世界的な食糧危機がやって来ることを警告し、また、その原因が、先進国の肉食にあることを知った。
 私は「これはヤバい」と思い、当時はインターネットも無かった為、ワザワザ切手を貼って、家族や友人知人に対して、何十通もの手紙を送り、肉食を拒否するよう訴えた。しかし、私の忠告に従って肉食を拒否したのは、当時、私が主催していたロムシーという草レースにて競技長を務めて頂いた、当時のモチュール(テクノイル・ジャポン)で働いていた小川さんただ1人だった。私は、自分の身内ですら、ロジカルに説明しても小川さん以外は肉食を拒否できないのだから、これは他の人達に対して肉食拒否を訴えても、ほとんど無駄骨になると感じていた為、衆愚を無視して、真剣に人類の未来を考えることが出来る優秀な政策立案者が、象牙の取引やフロンの使用を禁止したように、牛肉消費を禁止する政策を出すことに期待した。

 しかし、それから15年後の今年、政策立案者達はこの問題に対して何も手をつけずにいた為、尊敬すべき有識者の予想通りに、全世界的な食糧危機がやってきた。

 これで恐らく今後数年以内に、私のことを極端な菜食主義者だと揶揄して、私のことを蔑視した人達が赤面する事態がやってくることだろう。もちろん、別にそれに対する怨恨を果たす訳ではなく、現在はせっかくインターネットという、第三者に情報を伝達する手段があるので、皆さんには、肉食文化が約束した“豊かな生活”の欺瞞性と、その脆弱性について、正しい知識を得て頂きたいと切に思う。

 そして、ベジタリアン(菜食主義者)に対するステレオタイプなイメージである、宗教的な戒律とか、動物愛護の精神とか、そうしたイメージはあなたの頭から全て消去して、菜食主義という言葉にアレルギーがあるのであれば、私が提唱しているのは、“肉食拒否主義”だとして、これは、人類が生き延びる為の政治的、経済的課題と言った種類の問題であることを冷厳に見つめて頂きたいと思う。「植物だって食べたら可哀そうですよ」とか、「自分達で勝手にやるのはいいが、他人に押し付けるな」とか、そうした低次元の話ではないのだ。

 つまり、何か怪しい宗教にハマったイカレポンチキとか、牛を殺すと可哀そうと思っちゃう偽善者とか、そうした思考は全て払拭して、あなたは、自分が生き残る為に、超利己主義を発揮して以下を読んで頂いて構わない。

 これは、動物愛護ではなく、人類愛護の問題なのである。

★カーギルの経営戦略
 皆さんは、なぜ牛肉を食べるのだろうか? 恐らく正確に答えられる人はいないと思われるが、第三者の私に言わせれば、一言で言えば“美味しい”からである。また、牛肉は豊さのシンボルであり、牛肉を食べることで自分が豊であることも認識できるのだと思う。

 そして、私の経験だと、牛肉を食べる人達が、仮にベジタリアンに牛肉を食べることに対して批判された場合には、牛肉は栄養として必要なのだとか、人間は昔から狩猟を行っていたので、人間が牛肉を食べることは昔から行ってきた正しい行為だといったことを話し始めることが多い。
 しかし、本来、牛の肉は非常に固くてマズいものである。だが、このマズくて固い牛の中で、柔らかい肉を提供した品種が、“アンガス”という品種であり、更には、このアンガスという品種に対して、牛の主食である牧草を食べさせずに、トウモロコシや大豆を主体とする穀物を食べさせると、更に肉が柔らかくなった為、あなたは現在の柔らかくて美味しい牛肉にありつけたのである。つまり、野生の牛を狩猟しても、現在のあなたが食べている柔らかくて美味しい牛肉には絶対にありつけない。あなたが食べている牛肉は、人工的に“生み出された”食品なのである。
 そして、この人工的に生み出された牛肉を生産する為に、“カーギル”という企業が、穀物の輸出で儲けるという手法を編み出した。このカーギルという企業は、非上場企業としては、世界最大の売上高を誇っていて、世界各地の情報を得るために独自の人工衛星を持つという、非上場企業の中では、とんでもなく凄い会社だ。
 そして、日本人が牛肉を多食し始めたのは、全てアメリカ、中でも、穀物商社であるカーギルなどの経営戦略にハマっただけであり、栄養の為でも、これまでの人類の狩猟の伝統によるものでもないのだ。

 しかし、もしかしたら、これまで私のことを蔑視してきた人達は、私のことをヒステリックな変態扱いしてきたので、上記のストーリーに対しても、ほとんど“トンデモ”の領域と言えるふざけた陰謀論にしか感じないという人も多いかもしれない。しかし、私はスズキ車に乗っていた経験の持ち主で、他人から変態扱いされることには慣れているので、そんな誹謗中傷など歯牙にもかけず、今回は、皆さんにとっては予習、私にとっては復習を兼ねて、今から約9年前の1999年1月24日にNHKで放映されたNHKスペシャル『世紀を超えて』の第1回目を御紹介したいと思う。 9年前の番組だが、現在の状況を知っているだけに、背筋が寒くなる凄い映像だ。

 また、これを見れば、あなたがマクドナルドなどのハンバーガーを食べることに対して、いつまで経っても卒業できないのは、日本マクドナルド前社長の藤田田(ふじたでん)の経営戦略により、12歳までにハンバーガーを食べれば、それが“おふくろの味”となって、その後死ぬまでハンバーガーを食べるハメになるというワナにハマったからだということも、藤田田本人の口から確認することが出来るだろう。

 また、日本がなぜアメリカに対して頭が上がらなくなったのかも、単に敗戦という理由からだけでなく、皆さんが牛肉消費に対してNOと言えなかったということが原因であると、この映像から理解することが出来るだろう。


地球 豊かさの限界 第一集 一頭の牛が食卓を変えた その1
(19分29秒の映像です)

地球 豊かさの限界 第一集 一頭の牛が食卓を変えた その2
(19分29秒の映像です)

地球 豊かさの限界 第一集 一頭の牛が食卓を変えた その3
(19分29秒の映像です)




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