Erv's Letters index Text by Erv Yamaguchi


これまでのまとめ 2005年11月21日 15:24

 多くのライダーにとって、高くつく悩みの種であるライテク関連雑誌を、引き続き私は無視するだろう。
 理由。きれいに語れば、「表現の自由を表現する為」。汚く言えば、「好きに走らせろ」である。
 しかし、多くのライダーは、非常にお行儀良くライテク関連雑誌を参考にしているようだ。
 もちろん、パドックでは“人間として”お行儀が良いほうがいいだろう。私はパドックでタバコを吸っている人間を見ると撃ち殺したくなる。(消防士は仕事がないことに意義があると思う)
 しかし、私が言いたいのは、コース上はあなたにとってキャンバスだということである。
 しかし、である。これを読む中年ライダーの方達、中でも家族持ちの方などは、御自身の限界効用を検討し、更には御自身の心理状態を考慮した上で、キャンバスに絵を描いたほうがいいだろう。
 かく言う私も、中年ライダーとして復活してから、4台のオートバイに乗り、自分がどうしたいのかがだんだんと理解されてきたので、以下には、自分自身の頭の中(本当に弱い“オツム”だ)を整理する意味で、これまで乗ったオートバイとの相性についてまとめてみよう。

 まずGSX-R400だが、このオートバイは車体の剛性感が4台中最も高く感じられたオートバイで、恐らくこれは、エンジンの質量が小さいことに起因していると私は思った。ただし、私が乗ったGSX-R400は、トルクの谷があり、非常に乗りづらく、ステップ位置というか、リアの車高が低いせいで、つま先やヒザが路面と近くなってしまったのも、気分が悪くなる要因となった。もし、このオートバイのエンジンが、アクセルに対して“いちいち”(1対1)でレスポンスしてくれて、ポジションも良ければ、かなり私との相性は良かったことだろう。

 次にホーネット600だが、このオートバイは、これまで乗ったオートバイで、最もパワーがあったので、最初の内はかなり面食らった。しかし同時に、エンジンの質量が非常に大きく感じ、その加速感の大きさから、減速時にはフレームやフロントフォーク周りの剛性感に非常に頼りなさを感じ、それなのにタイヤのグリップ力も高かったので、タイヤを意図的にブレイクさせることが、やりづらいオートバイだと思い、私との相性は良くなく、このオートバイに乗っている時には、私は1本足でサッカーをしている気分になった。

 次に乗ったのは、88のGSX-R750で、このオートバイは、車体の剛性感があり、リアの車高やステップ位置などがGSX-R400よりも私に合っていたので、コーナー進入のパートでは、仲直りした後のパートナーとのメイクラブのように、大変気分が良かったが、装着されていたFCRのセッティングが決まっておらず、コーナーのクリップから後の立ち上がりでは、機嫌の悪い女性とのデートのように、最悪な気分になった。

 最後に乗ったのがZX-9Rで、このオートバイもエンジンの質量が非常に大きく感じられ、もっとフロント周りの剛性感が欲しいという感じだったが、すでに剛性を高めたような大柄な車体により、外足のステップが遠くなってしまったので、私としては、エンジンがもっと小さくて軽く、その為に車体も小さくて済むというオートバイが良いと思った。
 また、ファイナルがロングで、全然パワーバンドに入れられなかったが、個人的には、大排気量車の、低中速トルクで“ヌルヌルと”リアタイヤがスライドする感覚よりも、ショートストロークのピーキーなエンジンの高回転をキープすることで、スムーズなスピニングを起こすことが出来るエンジンを持つオートバイが欲しいと思った。

 まとめると、私が乗りたいオートバイは、進入時にタイヤを意図的にブレイクさせることが出来る高いフロント周りの剛性を持ったオートバイで、更に立ち上がり時には、高回転をキープして自然なスピニングが起こりやすい、ピーキーでパワフルなエンジンで、車体は私の体にあわせて、とにかく小さいマシンで、しかもステップやシート高は、深いバンク角を達成する為に、高めの設定のオートバイが良いと思った。
 こうして考えると、600ccのスーパースポーツが良い感じだが、最近のGSX-Rシリーズは、シート高も低く、ただの“乗りやすいオートバイ”になってしまった感がするので、(まるでホンダ車のようだ)個人的には却下という調子で、ホンダ党としては、CBR600RRが良い感じなのだが、CBR600RRの、コーナー進入時にリアサスの反力を利用できないユニットプロリンクに対して私は懐疑的なので、CBR600RRくらい小さな印象のCBR954RRあたりも良い感じだとは思うが、エンジンがでかくなってしまうのと、中古車価格があまり下がってこないので、こちらも厳しそうだ。
 という訳で残るのが、車高などのジオメトリーを変化させることが、比較的容易と思われるZX-6R(もしくはZX-6RR)に乗りたいと私は考えている。
 しかし、素人発想では、剛性が高いと思われている倒立フォークは、ZX-6RRを使用して、ST600でトップグループに位置するブルーサンダース代表の岩野氏によれば、1本6万円もするアウターチューブが簡単に歪んでしまうとのことで、こうした部分を含めたランニングコストが、ホンダ車に対して不利だとのことだが、まーそれは、本格的なレース屋さんのお話なので、私ごときがピヨピヨ走っている分には、無視できるネガティブ要因だろう。

 ところで、ホーネットやZX-9Rに乗って思ったのは、トミンサーキットなどのミニサーキットにて、中年ライダーがピヨピヨ走るには、スーパースポーツ車はタイヤが太すぎると思うことで、これは、スーパースポーツ車が、国際格式のサーキットにおける中高速コーナーに照準を当てているので仕方のないことだが、そうしたオートバイを走らせることで、多くのライダーはグリップ走行を極めた走りを目指し、そのまま成長してグリップ走行の権威となっている。
 しかし、タイヤのグリップ力に頼ったスタイルのライダーは、タイヤ代という名の経済的損失が大きくなっているようで、速さを追求すればする程、サーキット走行をあきらめる時期も速く到来することもあるようだ。つまり、「速さを追求したら、やめるのも速くなった」という訳だ。大変皮肉な話である。
 これに対する回避策は3通りあり、1つ目は、収入を上げることで、2つ目は、経済的損失を、速さを犠牲にして引き下げることであり、3つ目は、全てをあきらめ普通の中年に戻ることである。(飲み屋の旦那やキャバクラ嬢は喜ぶことだろう)

 余談だが、子供の定期貯金に手を出すのは、やめておいた方がいいだろう。また、自分の貯金を取り崩しているからと言って、離婚を免れるとも限らない。えっ? 何々? 笑えないって?(笑)




www.romc.jp www.maderv.com www.bugbro.com www.bugbromeet.com